謂ふ。
2002年12月5日――それがうれしくて、なにか礼を言わなければいけないとわかってはいた。
だが、いくつもの感謝が胸の中で渦巻いているのに、
肝心の言葉だけは喉の奥で冷たく凝って、どうしても出てこようとはしなかった。
ひどい焦燥感が彼女の手と足を小さく震わせて、
それでもなお声は出なかったから、
仕方なく精一杯の力で彼を抱きしめ、
ひたりと目を合わせ、それでなんとか自分の気持ちを伝えようとした――
だが、いくつもの感謝が胸の中で渦巻いているのに、
肝心の言葉だけは喉の奥で冷たく凝って、どうしても出てこようとはしなかった。
ひどい焦燥感が彼女の手と足を小さく震わせて、
それでもなお声は出なかったから、
仕方なく精一杯の力で彼を抱きしめ、
ひたりと目を合わせ、それでなんとか自分の気持ちを伝えようとした――
呼応。
2002年11月28日切なく震えた吐息に貴方の名前を乗せて囁いたら
たとえばこんな冬の夜でも、貴方は振り向いてくれて
それが嬉しくていつも甘えてしまうんだと云うことに
実はたった今気付きました。
ありがとう。
たとえばこんな冬の夜でも、貴方は振り向いてくれて
それが嬉しくていつも甘えてしまうんだと云うことに
実はたった今気付きました。
ありがとう。
狐火。
2002年11月10日祭りの夜には喧噪と霊力に惹かれて、死者が舞い戻る。
僕の手の中に収まった小さな炎は、祭りが終わっても離れようとしない。
妙なものに気に入られる……気味が悪いということもなかったけど。
誰もいなくなった広場の真ん中で胡座をかいて、
頼りなげに震える魂に、僕は問いかけた。
「どこから来たんだい?」
年が明けて最初の新月の祭りは、死者への鎮魂だ。
僕の手の中に収まった小さな炎は、祭りが終わっても離れようとしない。
妙なものに気に入られる……気味が悪いということもなかったけど。
誰もいなくなった広場の真ん中で胡座をかいて、
頼りなげに震える魂に、僕は問いかけた。
「どこから来たんだい?」
年が明けて最初の新月の祭りは、死者への鎮魂だ。
こぼれるちいさな、
2002年11月5日指先からこぼれてしまいそうな愛情を
全部あなたに送ることができたら
この狭い大地の上で
空を見上げることもなくなるのだろうか。
いつだってわたしは置いてきぼりなのね?
全部あなたに送ることができたら
この狭い大地の上で
空を見上げることもなくなるのだろうか。
いつだってわたしは置いてきぼりなのね?
Das Rezept des Schlafes
2002年11月3日 Sain goes with running where is especially quiet and people aren’t to pay attention.
That place isn’t known, but a few instructors and a few upper-class students and he and his close friends--Ereonor and Keith, Roy--know there.
But now they cannot have visited there.
Because today is weekend, mostly students have gone out to the downtown.
However, Sain has stayed school, because he has other one taken-class.
That place isn’t known, but a few instructors and a few upper-class students and he and his close friends--Ereonor and Keith, Roy--know there.
But now they cannot have visited there.
Because today is weekend, mostly students have gone out to the downtown.
However, Sain has stayed school, because he has other one taken-class.
…天に架かる橋があれば、墜ちても構わないから登っただろう。
この背中に羽根があったら、千切れてもいいから羽ばたいただろう。
足が縺れても爪が剥がれても涙が枯れても全部捨てて行っただろう。
あなたに、一目会うためだけに。
この背中に羽根があったら、千切れてもいいから羽ばたいただろう。
足が縺れても爪が剥がれても涙が枯れても全部捨てて行っただろう。
あなたに、一目会うためだけに。
Twinkle Star.
2002年10月31日小さく頼りなげに瞬いて 星がひとつ落ちました
それを見て 子どものように願い事をしました
愛してくれなくてもいい
どうか僕の傍に いつまでも居てくださいと
我が侭だと 神は嘲るでしょうか
それを見て 子どものように願い事をしました
愛してくれなくてもいい
どうか僕の傍に いつまでも居てくださいと
我が侭だと 神は嘲るでしょうか
Der alte geist.
2002年10月30日 今日は市街に花はない。
代わりにいくつものジャック・オ・ランタンが軒先に釣られ、
道行く人々は大人も子どもも奇妙な姿でそれを持ち歩いている。
箒を持った魔女・魔術師、そのお供の黒猫、
真白いシーツを被ったゴースト、仮面を被った死神……
「まったく、この騒ぎじゃ死人が本当に蘇ってもわかりゃしないわね」
パンプキンパイやキャンディの甘ったるい香りの渦を、
エレノアは顔をしかめてそう評した。
セインは苦笑して、彼女の手を引く。
「ほら、いい加減楽しみなよ。
向こうでダンスがあるんだ……」
仕方ないわね、と呟いた声とは裏腹に、
エレノアの顔はひどく優しく微笑んでいた。
代わりにいくつものジャック・オ・ランタンが軒先に釣られ、
道行く人々は大人も子どもも奇妙な姿でそれを持ち歩いている。
箒を持った魔女・魔術師、そのお供の黒猫、
真白いシーツを被ったゴースト、仮面を被った死神……
「まったく、この騒ぎじゃ死人が本当に蘇ってもわかりゃしないわね」
パンプキンパイやキャンディの甘ったるい香りの渦を、
エレノアは顔をしかめてそう評した。
セインは苦笑して、彼女の手を引く。
「ほら、いい加減楽しみなよ。
向こうでダンスがあるんだ……」
仕方ないわね、と呟いた声とは裏腹に、
エレノアの顔はひどく優しく微笑んでいた。
ベツレヘム。
2002年10月29日吐息を鎮める場所もないのだけれど
拙い歩みは地を這うようで 濡れた手を温めてくれるなら
歪んだ視界にあなただけ遠く映ること どうか赦してください。
一息で飛んで行きたいのだけれど
この縺れた足取りでさえ 愛しいと言ってくれるなら
醜く涙と素顔を晒して歩くこと どうか赦してください。
腕にたくさんの原罪を抱えたままのこの歩みが
どうか止まらないよう祈ってください。
受け止めるから。
拙い歩みは地を這うようで 濡れた手を温めてくれるなら
歪んだ視界にあなただけ遠く映ること どうか赦してください。
一息で飛んで行きたいのだけれど
この縺れた足取りでさえ 愛しいと言ってくれるなら
醜く涙と素顔を晒して歩くこと どうか赦してください。
腕にたくさんの原罪を抱えたままのこの歩みが
どうか止まらないよう祈ってください。
受け止めるから。
His truth.
2002年10月28日真実を語るには勇気が足りず
嘘を吐くほど優しくもなれない
喉元に刃を突き刺すには冷酷になれず
見逃すほどにこの手が綺麗なわけではない
抱きしめるには時間が経ちすぎて
突き放すほどにこなれていない
逃げ出すには未練がありすぎて
留まるほどには強くない
君の傍らに立ち竦むだけでもいいのなら
それが僕の真実。
嘘を吐くほど優しくもなれない
喉元に刃を突き刺すには冷酷になれず
見逃すほどにこの手が綺麗なわけではない
抱きしめるには時間が経ちすぎて
突き放すほどにこなれていない
逃げ出すには未練がありすぎて
留まるほどには強くない
君の傍らに立ち竦むだけでもいいのなら
それが僕の真実。
And he remember the night.
2002年10月24日冷えた腕にぬくもりをかき抱いて眠る夜に
腕の中の彼女は貴女ではないのだけれど
思い出さずにはいられない時があるのです。
裏切りではありません。
ただ、どうしようもなく貴女を思い出す夜が俺にはあるのだと――
それだけ、伝えたかったのです。
腕の中の彼女は貴女ではないのだけれど
思い出さずにはいられない時があるのです。
裏切りではありません。
ただ、どうしようもなく貴女を思い出す夜が俺にはあるのだと――
それだけ、伝えたかったのです。
そして途切れた言葉は戻らずに。
2002年10月19日心の伝え方を知らなくて 二人揃って言いたいことも言えなくて
だからずいぶん回り道をしたように思う
この道で間違っていないんだと 胸を張る自信もなかったけど
今このことだけは 誰にでも誇れる
君が、好
だからずいぶん回り道をしたように思う
この道で間違っていないんだと 胸を張る自信もなかったけど
今このことだけは 誰にでも誇れる
君が、好
宛名のない手紙。
2002年10月16日会えなくなってどのくらい経つのだろうと
昨日 指折ってみました
数えられなくなって やめてしまったけれど
今でも時々 あなたの笑顔を夢に見ます
もしもそのまま傍にいてくれたなら
気付くことはなかったのかもしれません
でも 今なら言えるんです
優しさもひたむきさも 両手にあふれるほどあること
伝えきれなくて ごめんなさい。
P.S この間、昇進しました。
喜んでくれますか?
昨日 指折ってみました
数えられなくなって やめてしまったけれど
今でも時々 あなたの笑顔を夢に見ます
もしもそのまま傍にいてくれたなら
気付くことはなかったのかもしれません
でも 今なら言えるんです
優しさもひたむきさも 両手にあふれるほどあること
伝えきれなくて ごめんなさい。
P.S この間、昇進しました。
喜んでくれますか?