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同棲中のバケモノが最近、とみにお気に入りなのが、昔懐かしのチューペットだ。けばけばしいオレンジやピンク、グリーンの凍らせた棒を、真ん中でぱきんと折ってその口からちゅうちゅうと甘い汁と氷のかけらを吸う。
そのしぐさが妙に赤ん坊じみていて、けれどエロくさいと言ったらじゃあ真司はロリコンなんだーなどと甘ったるい声で返されたから、なんとなく悔しくてごまかすようにキスをした。普段とは違う砂糖菓子のような味のする唇は、氷で冷やされ、少しひんやりとしていて気持ちが良かった。そのまま万年布団にその可愛らしいバケモノを押し倒すことになったのは、まあ当然の話だった。
暑いからもう一本食べる、とのそのそ布団から這い出して行った白い尻は、ばたんばたんとやかましく冷凍庫を開け閉めして、もどってくると薄いブルーのチューペットを一本咥えた少女に化けていた。折って、とねだるこのバケモノは、どうもこちらが眠たがっているというのをちっとも理解していないようだが、だからといって無視をすると後で散々な目に遭うことはわかりきっていたので、はいはいと受け取って膝頭に中心を打ち下ろす。
「よっ、と」
ぱきり、と景気のいい音が部屋に響いて、二本に割れたチューペットの片方をすかさず奪い取ったバケモノは、折り口からわずかにあふれてこぼれかけた甘い汁をちろりと赤い舌で舐めた。手の中に残されたもう一本は、きっと食えという意味なのだろう。同じくこぼれかけた汁をすすると、寝ぼけたような、だけれど懐かしいソーダの味がした。子どものころ、夏休みに冷蔵庫に入っていた三ツ矢サイダーはこんな味だったような気がする。
夏祭りだとか、川遊びだとか、花火だとか、そうして三ツ矢サイダーの味のチューペットだとか。このバケモノといると、どうしてこんなにあたたかなものばかり思い出すのだろうと少し不思議に思ったけれど、あつーいと時間もわきまえずわめいた我が侭なそれが布団を蹴っ飛ばして古ぼけた扇風機を足でつけたので、とりあえず考え事は忘れて汗にしっとりと濡れた小さな頭を叩くことにした。
そのしぐさが妙に赤ん坊じみていて、けれどエロくさいと言ったらじゃあ真司はロリコンなんだーなどと甘ったるい声で返されたから、なんとなく悔しくてごまかすようにキスをした。普段とは違う砂糖菓子のような味のする唇は、氷で冷やされ、少しひんやりとしていて気持ちが良かった。そのまま万年布団にその可愛らしいバケモノを押し倒すことになったのは、まあ当然の話だった。
暑いからもう一本食べる、とのそのそ布団から這い出して行った白い尻は、ばたんばたんとやかましく冷凍庫を開け閉めして、もどってくると薄いブルーのチューペットを一本咥えた少女に化けていた。折って、とねだるこのバケモノは、どうもこちらが眠たがっているというのをちっとも理解していないようだが、だからといって無視をすると後で散々な目に遭うことはわかりきっていたので、はいはいと受け取って膝頭に中心を打ち下ろす。
「よっ、と」
ぱきり、と景気のいい音が部屋に響いて、二本に割れたチューペットの片方をすかさず奪い取ったバケモノは、折り口からわずかにあふれてこぼれかけた甘い汁をちろりと赤い舌で舐めた。手の中に残されたもう一本は、きっと食えという意味なのだろう。同じくこぼれかけた汁をすすると、寝ぼけたような、だけれど懐かしいソーダの味がした。子どものころ、夏休みに冷蔵庫に入っていた三ツ矢サイダーはこんな味だったような気がする。
夏祭りだとか、川遊びだとか、花火だとか、そうして三ツ矢サイダーの味のチューペットだとか。このバケモノといると、どうしてこんなにあたたかなものばかり思い出すのだろうと少し不思議に思ったけれど、あつーいと時間もわきまえずわめいた我が侭なそれが布団を蹴っ飛ばして古ぼけた扇風機を足でつけたので、とりあえず考え事は忘れて汗にしっとりと濡れた小さな頭を叩くことにした。
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