The Foreign Country.
2004年8月8日 交点ゼロ未満 低い空調の音が耳に触る。ちっとも冷えない部屋の空気に、じっとりと身体が濡れた。
……暑い。こんな暑さは、知らない。
朝出かける前に天気予報を聞かなくなった。理由は簡単で、ここには天気などひとつきりしかないからだ――晴天。それも忌々しくなるほどの。
くだらないことなのだけれど、妙にそれがここは異国の土地なのだと彼に知らしめて、なんとも不思議な気分にさせる。もっと言ってしまえば、胸を悪くさせる。熱気に当てられて体調を崩したまま、すでに一ヶ月と半ほどを過ごしていた。
ああ、こんな時に、たとえば体調が悪いんじゃない、休めば、と忠告してくれる友人だとか、無理矢理体温計を押しつけて大丈夫、と舌足らずに言ってくれる少女だとかがいればいいのに。そうすれば、自分はなにひとつとして気兼ねなくベッドにもぐり込んでいられるのに。
だんだんと部屋の外は騒がしくなっていたが、あいかわらず耳に入る音の中で一番目立つものは、空調の気が滅入るような音ばかりだった。同居人の少女にはまったく見せることのできない下着だけのだらしのない格好で、ベッドを転がってうめく。気分が悪い。
何故なのか、今朝はことさら母国にもどりたいと思った。夏とは言っても日陰に入れば涼しく、冬には雪さえ降る、なによりもきちんと天気予報のあるあの国に帰りたい。
ホームシックなんて子どもみたいだ、と思いながら、彼はなんとか気合いを入れて起き上がった。暑さを言い訳に、仕事をさぼることはできない。
空調はちっとも利かずに、肌を汗で濡らしていた。
……暑い。こんな暑さは、知らない。
朝出かける前に天気予報を聞かなくなった。理由は簡単で、ここには天気などひとつきりしかないからだ――晴天。それも忌々しくなるほどの。
くだらないことなのだけれど、妙にそれがここは異国の土地なのだと彼に知らしめて、なんとも不思議な気分にさせる。もっと言ってしまえば、胸を悪くさせる。熱気に当てられて体調を崩したまま、すでに一ヶ月と半ほどを過ごしていた。
ああ、こんな時に、たとえば体調が悪いんじゃない、休めば、と忠告してくれる友人だとか、無理矢理体温計を押しつけて大丈夫、と舌足らずに言ってくれる少女だとかがいればいいのに。そうすれば、自分はなにひとつとして気兼ねなくベッドにもぐり込んでいられるのに。
だんだんと部屋の外は騒がしくなっていたが、あいかわらず耳に入る音の中で一番目立つものは、空調の気が滅入るような音ばかりだった。同居人の少女にはまったく見せることのできない下着だけのだらしのない格好で、ベッドを転がってうめく。気分が悪い。
何故なのか、今朝はことさら母国にもどりたいと思った。夏とは言っても日陰に入れば涼しく、冬には雪さえ降る、なによりもきちんと天気予報のあるあの国に帰りたい。
ホームシックなんて子どもみたいだ、と思いながら、彼はなんとか気合いを入れて起き上がった。暑さを言い訳に、仕事をさぼることはできない。
空調はちっとも利かずに、肌を汗で濡らしていた。
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