敗北を抱きしめて。

2003年9月28日
 暑い夏の日だった。空が青く、雲はひとつもなかった。さんざめく波の音が岩肌の遙か下から聞こえていた。名前も知らない赤い花が風に震えて、ようやく静かになった辺りには、場違いな鳥の声が響いていた。

 その日、長かった戦争は、終わりを告げた。

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