困ったような顔をして、眉をひそめて。

 好きですと言ったのは、もう一月も前のことなのに。
……まだ、引きずってるなんて。

 涙が出る。
これだけは永遠だとか、あのひとだけは別だとか、そんなくだらないことを信じていた自分が、バカバカしすぎてみっともなくて、それから哀しくて。

 ただ同情とか成り行きとか、そういうことだっただけなのに、どうして勘違いなんてしてしまったのかわからない。
否、わかりたくない。
だから本当はわかっている。
あのひとが、あんまり優しく笑ってあんまり愛おしそうに身体に触れてくれるから。
だから勘違いしてしまった。

 友情から進展して酔った勢いで結ばれた関係はあやふやで頼りなくて、それでも時折抱いて、抱かれて。
幸せそうに笑ってくれたものだから、拒絶なんてされるはずないと思ったのに。

 一月前に戻れたら。
馬鹿な陶酔に浸っていた自分を、何より先に殺したい。
今この手の中に、あの人が居ないから。

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