キスの効能。

2003年1月18日
 体調が悪いと耳のすぐ上、右側のこめかみがちくちく痛むのだ、と気付いたのは、いつごろだっただろう。

 そんなことを、布団の中にうずくまって、さなぎのようになりながら考える。

 頭の奥のシンが痺れて、指先に快感にも似た拡散のかすかな残滓。
瞼の裏側をゆっくりと舐めるような暗闇とか、そういったものがなんだかとても愛しくて、いっそこのまま消えてしまっても構わないのだけれど、と思うと。

 また、不意に。
……こめかみが、痛んで、

 引き戻された、と思って少し残念だった。

 誰だかは知らないけど、放って置いて欲しい、と思う。
自分の身体の後始末くらい、自分で付けたいのに。

 でも、また戻ってしまったから。
仕方がない、今日は眠ろう。
また明日、今度は絶対に。

 ……そういえば。
あなたの唇が押し当てられるのは、いつも、
こめかみ
だったんだと、思い出した。

 せつない、ね。

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