狐火。

2002年11月10日
祭りの夜には喧噪と霊力に惹かれて、死者が舞い戻る。
僕の手の中に収まった小さな炎は、祭りが終わっても離れようとしない。
妙なものに気に入られる……気味が悪いということもなかったけど。
誰もいなくなった広場の真ん中で胡座をかいて、
頼りなげに震える魂に、僕は問いかけた。
「どこから来たんだい?」

 年が明けて最初の新月の祭りは、死者への鎮魂だ。

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