今日の日記

2002年5月3日
 『山吹の立ちよそひたる山清水
        汲みに行かめど道の知らなく』

「卑怯ですね……?」
 涙は出なかった。
乾いた濃い緑のまなざしが、花に埋もれた棺をじっと見つめていた。
その瞳の代わりだろうか、手にした山吹の枝は、
今手折ったばかりであるかのようにみずみずしい。
「返事もさせないで逝ってしまうなんて……」

――あなたを蘇らせようと思っても、
     その方法など知りもしないのに――

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