忘れ得ぬ記憶。

2002年4月16日
 死んだときの感覚は、十七年経った今でも忘れられない。
全身の血が煮えたぎった油のように熱くなって、
脳髄が絶対零度に侵されたように鋭い痛みを覚えた。
呟こうとしたなにかは言葉を成さなくて、
握りしめた指輪からは魔法の光がこぼれていた。
 だんだんと見えなくなっていく視界に最後に映ったのは、
誰よりもかわいがった妹の、泣き顔だった。

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