「11時から8時の時間だけが繰り返されれば、
こんなに嬉しいことはないのに」
「ほっといて……」
「朝になれば私はまた醜い屍を晒して、
現実と云う儚い幻に戻るの」
「()の中に、全部詰まってる」
「本名なんてどうでもいいじゃないか。
俺はKASAIでお前は海那。
それで充分だろう?」
「僕たちに、文字以外の何が必要だったんだ?」
「ここではないどこかを求めただけよ!」
「現実に生きなきゃならないなんて誰が決めたの?
私は電子の海に溺れていれば幸せなのに」
「寂しいんだ?(笑)」
「僕らはみんな迷子だ」
 言葉と言葉の隙間に描写を求めるのは、ひどく無粋なことだ。
純粋な会話の中にこそ、人間がいるのだから。
――例えそれが、言葉を交わさぬ会話だとしても。

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