「嘆くことなんてないじゃないか」
 嘆いている。
うめくような、泣きそうな、それでいて愉悦をふくんだ声音だった。
自分自身に対する嘲笑だったのかもしれない。
「そもそもなにを嘆くんだ?
まやかしを真実と語る為政者か? それをゆるす世間か?
……そう思うことこそを嘆くべきだろう」
 そんなことを嘆く限り、永遠に幸せになれないのだから。

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